ちらしのうらのせかい

特撮のことから日常のあれこれまで、気ままに綴っていきます

劇場版仮面ライダーゼロワン REAL×TIME 感想

※この記事は映画のネタバレを含んだ感想となっているため、映画をご覧になってから読むことを推奨します。

 

 

 

 

 

 仮面ライダーゼロワンTV本編最終回から早4ヶ月弱経ち、ついに劇場版の公開となりました。本来であれば夏映画としてのポジションだったこの映画がコロナの影響で冬映画になったことで、公開タイミングも本編終盤→本編終了後と大幅に変わることに。
これまでの平成2期以降のライダー作品だと、夏映画は本編終盤にリンクした内容あるいはパラレル展開、冬映画は最終回後の展開を描きつつ次のライダー作品(今回で言えばセイバー)とコラボするというのが通例でしたが、今回はゼロワンとセイバーはそれぞれ単独で同時上映という扱い。ゼロワンは最終回後の話ということで、本編に関しては下記記事にも書いたようにいろいろ思うところはありますが、期待と不安を両手に抱えながら鑑賞してきました。

ちなみに新宿バルト9で見たのですが、公開日当日の仕事終わりの時間帯なのもあってかほぼ満席に近い状態。

chirashinoura-world.hatenablog.com

 

率直な感想としては、TV本編最終回までの展開を飲み込んだ上で見れば、つまりこの映画単体として見ればかなり良い作品。自分がTV本編に求めていた雰囲気を出してくれた、そんな感覚。

「TV本編最終回までの展開を飲み込んだ上で見れば」という言葉をつけたのは、TV本編で出た決定的不満が解消されたかというとそういう訳ではないからです。例えば上記記事にも書いたように天津垓をアークに悪意をラーニングさせた諸悪の根源という設定にしたみたいなのが不満の一例ですが、まあでもこういうのは後の展開でどうにかなるタイプの不満ではないので、この映画にその解決を求めるのは酷な気はしますね。

 

では、個々のポイントについて見ていきます。

ザイアスペックの有効活用

 本編ではお仕事5番勝負でZAIA側の人間が使用していたのがほとんどであまり良い印象がなかったザイアスペック。しかし今回は人間とヒューマギアが物理的には離れていながらも連携して動くことを可能にするツールとして活躍していました。
人間がヒューマギアを上回るための道具ではなくヒューマギアと協力するために使われる、そしてリモートワークが1つの働き方として定着してきているこの現実世界ともどこか重なる姿。使い方として見事だったと思います。

 
アクションシーン

まずなんと言っても今回目立っていたのはバルキリーでしょうか。ラッシンクチーターのスピーディーなアクションもさることながら、なんとバイクアクションも用意されているではないですか。本編での唯阿・バルキリーの扱いがあまりに冷遇されていた分、ここで少しは挽回できたんじゃないでしょうか。今度はVシネで新フォームも拝みたいものです。(バルカン・バルキリーVシネやってくれ...!)
他にも諫と迅のコンビの戦闘機との空中戦を披露していたり、滅がアバドンの群れ相手に無双して相変わらずの強者感を見せつけていたり、各々アバドンとの生身戦闘シーンがあったりと見どころがたくさんあります。

そして或人も、自らの命を投げ出す覚悟でヘルライジングホッパーに変身し骨折と再生を繰り返す痛みに耐えながらエデンを攻撃したり、ゼロワンとゼロツーの共闘が実現したりしたところも見どころではあるんですが、個人的には特にゼロツーで苦戦したエデンの再生能力に対し、フォーム的には格下になるメタルクラスタホッパーの特性を活かしてエデンの再生を阻害するというテクニカルな戦い方を見せるところが印象的でした。

惜しむらくは序盤のゼロツーvsエデン時にゼロツーの先読み能力が全然使われなかったところでしょうか。エデンを強く見せることとゼロツーを弱く見せないことを両立するためにやったのかもしれませんが、どうしても舐めプ感が出てしまうのでここはなんとか見せ方を考えて欲しかったところ。

 

1000%vs100%

 今回の劇場版ではZAIAの常務 野立万亀男役としてアキラ100%の出演が事前に発表されており、この時点でもう1000%vs100%の構図は分かりきってはいたのですが想像以上にギャグに全振りで、これは好き嫌い分かれるなと思って見ていました。
個人的にはこのアキラ100%の芸風を全面に持ってきたギャグシーン自体は嫌いじゃないんですが、どちらかというと腹筋崩壊太郎が野立に腹筋攻撃したことの方がちょっと違和感あるかなと。あの腹筋は人々をお笑いで笑顔にするためのものであって、脅すための武器ではないと思っているので。

 

ゼロワンとゼロツーの共闘

 予告編でも映ってたこちらの光景。まあ消去法的に変身するのはイズだろうなと思っていましたが、いざ同時変身見るとやっぱり燃えますね!
イズゼロツーのスーツアクターを演じるのはバルキリースーツアクターも担当されている藤田慧さん。或人が変身するゼロツーとガワとしては同じはずなのに、その立ち振舞いで本当にイズが変身しているように見えるのはさすが。
そして或人が変身するゼロワンも、ライジングホッパーだとゼロツーと並ぶと型落ち感が出てしまいますが、見た目が同じ強化フォームであるリアライジングホッパーが本編最終回で出たことで、強さという意味でも並んだときに違和感のない組み合わせになったのは良かった。


エスの動機

 今回世界同時多発テロを引き起こしたのは間違いなくエスなんですが、世界を滅亡させ選ばれし者だけ楽園で生き残るのは建前でむしろ狙っていたのはそういう思想を持つ信者の方だったというのは見せ方が上手いなと思いました。

ナノマシンの暴走で死なせてしまいデータ化した朱音のために行ったこの一連の行動は、エグゼイドの劇場版の敵であった南雲影成ともどこか重なります。

あと、アバドンの変身者のビジュアルが濃い人だらけだなと思ったらみんなアバターだったので妙に納得感笑

 
REAL×TIMEというサブタイトル

 今回のサブタイトルがREAL×TIMEで上映時間も80分あったので、60分のカウントダウンも本当にリアルタイムでやるのかなと思っていたんですが、そういう訳ではなかったのがちょっと残念といえば残念。
あと欲を言えばカウントダウンより前の描写をもう少し丁寧に描いていればより分かりやすかったんじゃないかなって気がする。。


旧イズの記憶

 ゼアの中に旧イズの記憶データ(?)的なものが残っていてそれが新イズに共有されるというもの。これに関してはシーンとしては感動的なシーンではあるんだけど個人的にうーんって感じだったんでした。というのもそもそも旧イズのバックアップ絡みの話が本編で結構うやむやにされてたから。

ゼロツープログライズキーがイズのセントラルメモリーを再構成したもので、ゼアはイズの中に存在していたから、記憶データ的なものが残ってたのかなと考えたりもしたけど、そうするとやっぱりゼロツープログライズキー完成後のイズが普通に動いているのはおかしいと思う訳で。まあここは本編での理屈の話ですね。

 


とまあ一部気になる部分はあるものの、全体的に見ると最初に述べた通り1つの映画作品として完成度の高い作品だと思います。

アズはこの映画では放置という形になりましたが、そこは滅亡迅雷のVシネに期待って感じですかね。来年の3月を楽しみに待つこととしましょう。

 


余談ですが同時上映のセイバーにもちょっと触れておくと、あれは起承転結のうち起のごく一部と結しかない、アクションシーンを集めたMAD動画みたいな印象を受けました。まあ尺が短すぎるというのもあるかもしれませんが、本編のセイバーとも相まってマジで中身がなさすぎる。その割に出自不明のポッと出の新フォームは出てくるという。

これを流すくらいならゼロワン1本で行った方が良かったんじゃないかという気もしますが、現行作品という手前そういう訳にもいかないんでしょうね。