令和になって初の冬映画、令和ザ・ファースト・ジェネレーションについて感想をまとめました。ゼロワン本編の感想はこちらをご覧ください。
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決して交わってはいけない存在の共演
予告でも「決して交わってはいけない存在」と言われていたジオウとゼロワン。最終回で世界リセットしてしまったジオウと現在物語進行中のゼロワンがどのように関わるのかは気になるところでしたが構成としては、
1. タイムジャッカーフィーニスによりゼロワン世界に改変が起こる
2. 高校生生活を送っているソウゴたちも改変の影響を受けヒューマギアが支配する世界になる。ソウゴたちはウォズにより記憶を取り戻す
3. ソウゴたちが1年後の世界に行き、改変後のゼロワン世界で或人たちと共闘する。
というのが導入部分の流れ。なので、ゼロワンのストーリーが主軸にあってそこにジオウがお邪魔するという形ですね。変にジオウが出張らずにゼロワンを後ろから支える形になったのは好印象でした。
仮面ライダー001と仮面ライダー1型
この映画で初登場した仮面ライダー001。ヒューマギア用に作られたフォースライザーを使って激痛を伴いながら変身しているのが急場しのぎ感を強調させます。変身のとき無数に現れるバッタに体を包まれる様子もなんとも不気味でフォースライザーで変身するライダーっぽい。
これまでのライダーの劇場版でも、翔太郎のジョーカーや映司のバース、進ノ介の超デッドヒートドライブといった「主人公が変身した主役ライダー以外のライダー」が登場することはありました。しかしこのようなライダーは主役ライダーに変身できないシチュエーションで急場しのぎで変身することが多いため、出番はそこまで多くなくても当然といえば当然。そんな中今回或人が変身した001は計4回の変身と変身回数も異例の多さで、1型との決戦も001で行ったためこの映画においてはゼロワン以上に目立つ存在となりました。
今回001で一番印象的だったのはやはり1型との決着シーン。フォースライザーで変身したライダーの必殺技って「〇〇ディストピア」になるはずなんですが、001の場合「ライジングユートピア」になっているのがなんともエモい。
そして其雄の変身するライダーとして登場した仮面ライダー1型。デザインは初代仮面ライダー1号を彷彿とさせており、ゼロワンという物語の中で最初に登場した仮面ライダーでもある。考えてみると、其雄と同じヒューマギアであるウィルが変身したアナザーゼロワンと、人間である或人が変身した001の中間的な立ち位置なんですよね。そんな3人がそれぞれの思惑の中で戦う様は本作の見どころの1つともいえるでしょう。
レジスタンスとしてのA.I.M.Sコンビ
改変後のヒューマギアが支配する世界で、レジスタンスとして統率する立場にあった諫と唯阿。まず言いたいのが唯阿がポニーテールにしていたのがめちゃくちゃ可愛かった...!いや~あの可愛さは反則ですよ、、本編中でもぜひ見てみたい。諫はまたゴリライズするのかなと思ったらちゃんと正規の手順で変身しているのでびっくりしました。あの世界ではちゃんとロックの解除方法を教えてもらってたんですかね笑
そんな二人ですが今回の映画ではアクションシーン、特に軍用車に或人が乗り込んでヒューマギアから逃げるときのくだりと、アジトにヒューマギアが進撃してきたときの銃撃戦が印象的でした。パンフレットのインタビューを見ていると特にガンアクションで杉原監督のこだわりが強く反映されているようなので、銃器に詳しい人が見るとより楽しめるのかもしれません。
あと忘れちゃいけないのは歴史改変が戻った後の二人の会話。互いに「もし自分がヒューマギアだったらどうするか?」を相手に問いかけるシーンですが、今後の展開の伏線なんじゃないかと思うと不穏な感じがしますね。本編の感想でもちょくちょく触れてますが、諫は脳だけ改造されてる可能性はある気がします。唯阿は唯阿で改造ではなくても垓に騙されて何かされてそう。。。
飛電親子の夢
或人の夢は「父さんを笑顔にさせること」、其雄の夢は「ヒューマギアが笑い、或人も笑う世界を作ること」。最初は其雄がアークを打ち上げようとしていると勘違いしていた或人が其雄の真意を知り、共闘、対決を経て父親の壁を乗り越えていく流れが美しい。
其雄関係のシーンだと「俺の夢は俺が笑い或人が笑う世界だ」って言って1型に変身するシーンと、或人に「お前は誰の後継者でもない」と伝えるシーンががたまらなく好きです。特に後者の台詞は普通なら「飛電の意志を継いで~」とか言いそうなものですが、父親として飛電或人という一人の人間として夢に向かって羽ばたいて欲しいという思いを、メタ的には令和最初のライダーとしてこれまでのレジェンドライダーを意識することなく進んでいって欲しいという思いを込めて言った「お前は誰の後継者でもない」という言葉はとても素敵ですね。
余談ですが、是之助がウィルにヒューマギアの労働の対価を問われたのに対し「勉強熱心だなあ」と返したシーンについて、あの時点ではまだ是之助も「ヒューマギア=便利な道具」という認識だったんでしょうね。そこから12年の間で是之助の中でどのような心境の変化があったのかもどこかで見てみたいです。また、本編では嫌味なキャラ感が強い福添さんも、今作では純粋に会社を愛する技術者としての側面が見られたのでやっぱり是之助前社長へのリスペクトが強いが故の或人への態度なんでしょうね。
ジオウ組の活躍
前述の通り、今回のジオウ組はメインを張るというよりは基本的に影から支える役回り。フィーニスは特に顕著で、バックボーンが全く明かされずまさに舞台装置としての役割でした。(ジオウは全体的に設定ガバガバな節があるのでなんでもあり感はありますが...)
レジェンドライダーの力を奪われた状態でアナザー1号と戦ったソウゴはもちろん、ゲイツ・ウォズ・ツクヨミのサブライダー3人組は基本フォームで迅・滅コンビを圧倒する様がさすがの風格。変身前のアクションも負けず劣らずで、ツクヨミの時間停止やウォズのストールなど個々の特性を生かした戦いが見られたのも良かったです。
最後のジオウvsゼロワンの賛否
アナザー1号を倒し、一件落着後にソウゴが持ちかけたジオウとゼロワンの対決。「平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦」を思い出した方も多かったんじゃないでしょうか。私もそのうちの一人なのですが、このシーンに関しては複雑な気持ちを抱いてるのが正直なところです。単純に今回のストーリーの本筋から考えればこのシーンは蛇足な部分だと思います。しかし今回の映画が平成最後の仮面ライダーと令和最初の仮面ライダーの橋渡しの映画であり、令和最初のライダーとしてこれまでのライダーに縛られない新たな1ページを刻んで欲しいというメッセージを考えると否定しきれない部分があるのもまた事実。積極的に賛美はできないけれど、この映画に限っては無しではないかなという気持ちです。
では実際あの勝負がどうなったのかという話ですが、EDのシーンでソウゴたちが記憶を失って高校生活を送っているのを見るに、恐らくソウゴは自分たちが記憶を失うために或人に勝負を仕掛けてあえて負けたんじゃないかなというような気がします。本気でやったらオーマジオウになれるジオウが負ける訳ないですしね。
まとめ
全体的に見ると、この映画にジオウの続編・後日談や派手さ(レジェンドキャストの出演含め)を期待して見に行く人にとっては物足りないかもしれませんが、ゼロワンの物語の掘り下げに期待する人にとっては満足できる映画だったんじゃないかなと思います。イズがレジスタンスのところで居を共にするようになった経緯や映画序盤で完全にヒューマギア側でウィルの側近として活動していたシエスタが急に緊急動議をした理由など、ところどころ説明不足を感じる部分もあったので、オーディオコメンタリーでの補完、あわよくばディレクターズカット版のBlu-rayも出して欲しいところです。