ちらしのうらのせかい

特撮のことから日常のあれこれまで、気ままに綴っていきます

仮面ライダーギーツ最終話「黎明Ⅰ:ここからがハイライトだ!」感想

前回分はこちら。

 

chirashinoura-world.hatenablog.com

 

 

御神体となった英寿

 ツムリに撃たれた英寿がどうなるのかというところで終わった前回。蓋を開けてみれば突っ込みどころ満載でした。
まず1つ目に、ツムリを乗っ取って英寿を撃った黒ツムリ。そんなイマジンみたいに乗っ取れる設定なんかあったっけ?というかそんな能力あるならもっと早く乗っ取って英寿サイドのライダーたちとの関係をかき乱したり、ツムリを人質にしたりすることもできたのでは?「私とあなたは一心同体。私の願いはあなたの願い」とかなんとなくそれっぽい説明台詞をその場で入れてるだけで、とってつけたような設定にしか見えないんですよね。
黒ツムリに関してはそもそもツムリの涙からデザインされたっていうのからして意味不明なんだけど。

2つ目に、英寿がツムリに撃たれた後神になって復活したロジックが全然分かりませんでした。人間として転生するのは英寿が過去2000年繰り返していることなのでまだ納得できるんですけど、それが急に神になりましたと言われても納得できる要素がなくて。
創世の力を持っているから?でもツムリに撃たれる直前にリバースされて普通の人間に戻ってますよね?仮に創世の力を持っているからだとしても、人間として命を落とさないとなれないのかという疑問はあるし、もし人間として命を落とすことが条件なのだとしたら、なぜそれを運営が知らず英寿だけが知っていたのかが謎。
それに、劇中で英寿はミツメに会ったとき神になる覚悟を決めたとか言ってましたが「覚悟を決めること」と「神になれること」はイコールではないし、もし自分の意志で神になれるならもっと早くやれという話になる。覚悟はできてるのにやりませんでしたは覚悟できてないのと大差ない。どう転んでも筋が通らない。

 

3つ目に、英寿が景和、祢音、道長のデザイアドライバーとIDコアとバックルを復活させたとき、なんでファンタジーやブジンソードを復活させなかったのかが分かりませんでした。この時点の英寿は完全に神になってる訳だから、制約があってこれらのバックルが生み出せなかった訳じゃないと思うんですよ。
ニンジャとビートを出したいっていうメタ的な理由しか感じなくてなんか嫌でした。
せめてエグゼイドの最終回で初期フォームガシャット以外が遠くに飛び散ったときみたいに、ご都合ではあるものの絶対に起きない事象ではない程度の理由付けは最低限必要だっただろうと。まあ神になってしまった以上理由付けはかなり苦しい気がするので、やっぱり素直にファンタジーやブジンソードを復活させるのが自然だと思います。

 

4つ目に、リガドΩを倒して変身解除した後のスエルから、英寿が出てきたのがよく分かりませんでした。スエルはずっと仮面をつけた状態だったので実体がどうなっているかとか全然分からないし、英寿が神様になったからなんでもありと言われればそれまでですが。

 

5つ目に、英寿は「誰もが幸せになれる世界」を作りましたが、最後までイマイチ具体的にどういうものなのかが見えてきませんでした。例えば景和が闇堕ちしたときに叶えた世界では、悪事を働いたデザイアグランプリ退場者まで復活して世紀末みたいな世界になってましたが、誰もが幸せになれる世界ってことは悪人も幸せになれるってことになるけどそれで良いんですか?そうじゃなくてもAさんはこれを望んでるけどBさんは真逆のことを望んでるみたいなお互いの利害が対立するケースは往々にしてある訳だけど、そういう都合の悪いところは無視されている。なんか聞こえの良いことだけ言ってお茶を濁しているようにしか見えないんですよね。それなら、「デザイアグランプリが存在しない世界」という名目にする方がまだ説明がつく。
それに、「願えば叶う」というのもすごく違和感があって。ヒーロー番組として、「願いを叶えるために自分で行動する」のを見せるのがあるべき姿じゃないんですか?その願いが結実するかどうかはさておき。ただ願えばいいっていうのは違うでしょ。
また、この世界改変には「幸せの総量が決まっている」問題の改変も含まれていましたが、結局これも「神様の力で幸せの総量の制限をなくした」で片付けたのが物語として本当につまらないなと感じました。

 

さいごに

 「神様だからなんでも言ったもん勝ち」で全て片付けられてしまったと感じた最終回でした。創世の力を英寿が手に入れた時点で懸念していたことではありますが、いざ実際に見てみるとやっぱり何のカタルシスも感じないですね。最終クールとか英寿を教祖にした新興宗教みたいだったし。
あと結局大智を筆頭に過去やらかしてきたことに関してお咎めなしで終わったのはすごくモヤモヤします(道長はなぜか濡れ衣に近い沙羅のジャマト化の件では償いの意思を示していましたが)。景和はあの後警察官目指してるっぽいですが、あの性格で警察官とか国家権力持った仕事に就いたらヤバいだろ…

 

ともあれこれでテレビ本編としては完結したので、ギーツについても余力があればまた振り返り記事を書きたいと思います。