ちらしのうらのせかい

特撮のことから日常のあれこれまで、気ままに綴っていきます

映画『HELLO WORLD』感想

先日、シャイニング松坂こと松坂桃李さんが声優をされたということで気になっていた『HELLO WORLD』を観てきました。

個人的にこの作品はいろいろ説明不足で痒いところに手が届かない惜しい感はありますが、SFっぽい作品が好きな人、可愛いヒロインが見たい方にはおすすめな作品です。

以下はネタバレを含むため映画鑑賞後読むことをおすすめします。

 

本作品の世界観

この作品内で登場する、現実の京都市内で起きた全事象を仮想世界として記録する「アルタラ(ALLTALE)」という技術。

現実世界とは切り離された仮想世界としての記録という形をとることで、ナオミから直実への干渉を起こしてもそれ自体が現実世界に影響を及ぼすことはない。タイムトラベルものでは時間移動先での行動が及ぼす元の時間への影響(タイムパラドックス)の考慮が難しいところですが、その点を極力シンプルにしつつかつ「過去の自分との邂逅」というタイムトラベルものならではの魅力を描く様は見事だなという印象でした。

 

直実と一行さん

 本作品のヒロイン一行さん。最初はツンツンした態度で、直実ともぎこちない距離感ではあったものの、最終的には恋仲に。

尺の都合もあるのかもしれませんが、正直ここやナオミ、イチギョウさんの心理描写はグッドデザインのアクションを削ってでももっと時間を割いてほしかったのが本音。

この作品において、「直実が一行さんを、心の底から愛している」というのが一行さんを助ける一番の動機であり、それを受け手側に共感させるためにもその過程は丁寧に描く必要があると思うのです。無論、ナオミやイチギョウさんについてもまた然り。

一方で、今まで自己啓発本は読むものの実際行動するときは「自分で決める」ということをしてこなかった直実が、古本市の一件でナオミのノートに反した行動をとったことは直実という人物が変わるきっかけでもあり、後の行動にも繋がってくるので良かったです。

 

ラストのどんでん返し

最後の最後で明らかになった、 ナオミの世界も仮想世界だったという事実。あの月面基地は、京都市内(アルタラの範囲内)からは完全に外れたところにいることを示すための描写かな。

現実世界ベースで考えると、結局脳死状態になっていたのは一行さんではなく直実の方だったということでしょうか。上でもちらっと書きましたが、イチギョウさんがナオミを救い出す行動に至る過程も見てみたかったです。ちなみにちょっと調べた感じだと2047年からイチギョウさんがダイブしたときのアバターがあのカラスだったようですね。(小説版には書かれているとのこと)

 

この作品、上記のように小説版やスピンオフで細かい部分の補完もあるようなので、今度観て(読んで)みたいと思います。

 

 

 

HELLO WORLD (集英社文庫)

HELLO WORLD (集英社文庫)