ちらしのうらのせかい

特撮のことから日常のあれこれまで、気ままに綴っていきます

仮面ライダーリバイスを振り返って

はじめに

 前作が個人的にひどく残念だったこともあり、仮面ライダーバイスは何とか挽回してほしいと思いながら見ていた作品でした。序盤は話のテンポも良く(ゲスト周りの話はかなりバッサリ削ぎ落としていくスタイルでしたが)、敵もおじさん3幹部含め個性的で先が気になるような話の展開だったので、18話の玉置がデッドマンと分離する回までは楽しく見ていました。

しかしそこから約8ヶ月経ち最終回が終わってみれば、消化不良の状態でまた1年経ってしまいました。なぜこのような心境に至ってしまったのか、各論的にはなりますが振り返っていきたいと思います。

 

悪魔や契約の定義

 まず、仮面ライダーバイスという物語を語る上で切っても切り離せないのが「悪魔」そして「契約」という言葉。リバイスではこれらの言葉の定義についてちゃんと説明されておらず終始扱いがフワフワしていたんですよね。
一般的な人間と悪魔はこういう関係の元存在しているものですよ、とか悪魔との契約はこういうロジックで成り立っているんですよといったことが説明されないので、ギフの末裔である五十嵐三兄妹の悪魔と一般人の悪魔では何がどう違うのか、基本ルールと例外の差が全然伝わっていない。だからバイスたちが悪魔や契約にまつわる要素の話をしても、悪魔全体に共通した話なのかギフの末裔から生まれた悪魔限定の話なのか、はたまたその悪魔特有の話なのかがさっぱり分からないんですよね。
こういう根っこの設定が固まっていないと、枝葉の部分の話をされてもどんな感情よりも先に「分からない」が勝ってしまい、そして「言ったもん勝ち」じゃないかという冷めた感情が湧いてしまう。狩崎真澄の悪魔を分離してジョージに移植したという話なんかその最たる例ですね。

 

結局ギフは何がしたかったのか

 第1話からその存在は示唆されていた本作品の敵ボスであるギフ。そもそもギフは最初「全ての悪魔の祖」みたいな扱いされてましたけど、蓋を開けてみたら悪魔をエネルギー源とする地球外生命体という位置づけでした。これまでのギフの行動の経緯を整理すると、

(1)元々人類と友好的な関係を結びたかったため約3000年前に赤石やアヅマにギフと人間の橋渡し的な役割を担わせた。
(2)しかし人類に恐れられ拒絶された結果人類に失望。赤石とアヅマに不老不死の力を与え、人間との再コンタクトの時期を委ねて中南米で自ら長き眠りについた。
(3)現代でデッドマンズやフェニックスを利用した赤石によりギフを復活。
(4)ギフは、「人類が進化すればするほど闇が極まりこのままだと自ら破滅し絶滅する」と考え調整と称して五十嵐家以外の人類を全滅させようとする。


といった流れでしたが、個人的には(4)がよく分かりませんでした。
ギフと人間、悪魔の関係は現実世界で例えるなら「人間と牛と牛乳」、「人間と鶏と卵」の関係に近いように見えます。(ギフは別に人間の世話なんてしていませんが)
そう考えたときに、牛や鶏が年月を減るごとに同族同士で互いに争い合って結果としてその数を減らしていったとしても、人間は「じゃあ牛や鶏をごく一部だけ残してあとは全部殺処分してしまおう」という発想にはならない訳で。
でもギフは人間に対してそれをやろうとしている。これが元々人間に対して敵意むき出しのがやることなら納得はできなくても理解はできる。だけどギフのやろうとしていることは論理として筋が通っていないので理解すらできない。
五十嵐家だけ残してもギフが食糧難であることは変わらないし、そもそも調整という名目で人類の人数を減らしたところでなぜ人類が今後自滅しないと言い切れるのかも分からない。そんなことするくらいならギフはそのまま眠りについていたほうがまだ幸せではないのか。
上記の経緯が判明したのも自発的に喋るようになった終盤も終盤ですし、その後は割とすぐに五十嵐三兄妹によってあっさり倒されてしまったので、敵のボスとしては非常に扱いが軽く感じました。こんなオチにするくらいなら1年間引っ張る必要は全然なかった。

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